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カシオの新規事業提案プログラム「IBP」挑戦者の舞台裏:DIMENSION TRIPPER(前編)
こんにちは!カシオの開発部門に所属しているのざきです。
カシオでは、「こんな商品をつくってみたい!」「新しいサービスをローンチさせたい!」と熱望する社員の想いを実現するために、ボトムアップ型で事業テーマを後押しする人材育成プログラム「IBP(Idea Booster Program)」を進めています。
【IBPに関する記事はコチラ】
今回はIBPから生まれたユニークな製品「DIMENSION TRIPPER(ディメンション トリッパ―)」とその開発秘話をご紹介します!
まずは「DIMENSION TRIPPER」プロジェクトについてご紹介
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【プロジェクトメンバー】
・藤井 令央(写真中央)
入社 :2015年度
経歴 :デジタルカメラ/電子楽器/新規製品などの回路設計
本プロジェクトでの役割:プロジェクトリーダー、仕様設計、回路設計
・小林 亮平(写真左)
入社 :2015年度
経歴 :デジタルカメラ/電子楽器のメカ設計
本プロジェクトでの役割:ビジネスデザイナー、仕様設計、回路設計
・榊原 昌輝(写真右)
入社 :2018年度
経歴 :電子辞書をはじめとした教育系デバイスのソフトウェア開発
本プロジェクトでの役割:マーケター、ソフト設計
「DIMENSION TRIPPER」は、ギター好きの社員3名が中心となり開発されたギターストラップで演奏するエフェクトコントローラーです。
演奏時にギタリストが足で操作する「エフェクター」と呼ばれる機材は、ギター演奏にさまざまな彩りを与えてくれます。一方で、設置場所でしか演奏できないという制約もあり、ステージ上を自由に動き回りたいという”パフォーマーギタリスト”にとっては障害になります。
「DIMENSION TRIPPER」では、無線によるエフェクターのコントロールが可能になったため、場所の制約なしにサウンドのキャラクターを変化させることができます。
また、多数のエフェクターを演奏中に忙しく操作する”サウンド派ギタリスト”は、サウンドのパラメーターを複雑に変化させたいというニーズがありますが、足でのエフェクター操作には限界があります。「DIMENSION TRIPPER」は、足をフリーにしながらパラメーターをコントロールできるため、足での操作と「DIMENSION TRIPPER」での操作を併用することで、これまでできなかった演奏表現を可能にします。
「DIMENSION TRIPPER」は、2023年10月にクラウドファンディングに挑み、結果は成功!253名のサポーター様に、お届けすることができました。
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「DIMENSION TRIPPER」って何がすごいの?
次元を超えた新しい音表現の旅を提供したいという願いを込めて、「DIMENSION TRIPPER」と名付けました。
「DIMENSION TRIPPER」は、まさに新感覚のエフェクター。これまでの足で操作するタイプとは一味違い、体全体で音を自在に操れるのが魅力です。音の変化が自分の身体の動きにぴったりくっついてくる感じが、今までにはない感覚です。
体験してくださった方は、最初は「どうやるの?」という戸惑いがありますが、いざ操作をしてみると思わず笑顔になってしまいます!
今までにない演奏スタイルやパフォーマンスを模索し、自分自身の表現の幅を無限に広げていくことができるのです!!
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どうやってプロジェクトを進めていったの?
「IBP(Idea Booster Program)」では、最初のステップは「心からほしい!買いたい!」と思う人を見つけることからはじめます。
「DIMENSION TRIPPER」は、リーダーの藤井さんが1人ではじめたプロジェクト。藤井さんはインタビュー(何?)のタイミングでプロトタイプを作ってみました。それがこちら!
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エンジニアの藤井さんは、子どもの筆箱や輪ゴムなど、身近にあるものを使って試作品を作りました。(なんと2週間で・・・!)
これを社内のギタリストにつかってみてもらったところ、「おもしろい!」「これは製品化するべきだ!」と嬉しいコメントがありました。若手・ベテラン関係なくかけられたポジティブな言葉に、藤井さんは「ジーン」と心に染み、一筋縄ではいかない新規事業プロジェクトを進めていくうえでの支えとなったそうです。
協力してくれる人も集まってきました!
その後、アイディアに共感し、一緒に開発してくれるメンバーも集まってきました。皆ギタリストです。
ただ、ギタリストと言っても、ロック系、シンセ系など趣向はさまざま。
1人だと仕様に悩んでしまいがちですが、みんなで知恵を出し合うことで、様々な趣向にあわせた仕様に変化し、機能も拡張していきました。
そして、作ってみる→ギタリストにヒアリング→仕様を修正、を繰り返していきました。
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ついに転機が!
これまでは社内のギタリストにヒアリングをしていましたが、ついに憧れのプロギタリストにプロトタイプを使っていただく機会がやってきました。こ
れがプロジェクトの大きな転機となります。
専門的な視点や肯定的な意見が、ターゲットユーザーや使われるシーンを具体的にイメージさせてくれました。このフィードバックをもとに、製品の仕様やデザインの方向性が明確になり、現在の「DIMENSION TRIPPER」に昇華していきました。
個人のひらめきが、仲間の協力を得て大きな革新へと成長した「DIMENSION TRIPPER」。社内外からのサポートと情熱が、この新しい表現手段をギタリストへ届ける原動力となりました!「DIMENSION TRIPPER」の開発秘話は次回に続きます。ぜひお楽しみにお待ちください!