時計のワールドタイム機能について解説します！
こんにちは、カシオでスマートフォンアプリの仕様設計を担当しているスズキです。
2021年に入社し、「G-SHOCK MOVE」や「CASIO WATCHES」という時計につながるスマートフォンアプリの保守や仕様設計を担当してきました。
カシオの時計の中には、世界各国の時刻がプリセットで登録されており、その中の時刻を選び時計にセットできるモデルが存在しますが、実はアプリに接続することで、より多くの都市の時刻を時計にセットすることができることをご存じでしょうか。
今回は、さらにカシオの時計を楽しく使っていただくため、時計につながるスマートフォンアプリの機能の一つである「ワールドタイム機能」について、ご紹介します。
ワールドタイム時刻情報について
常に変わる時刻情報
世界各国では、国ごとに時差(タイムゾーン)やサマータイムを決めていますが、実はそれが変更されることが多々あります。日本ではサマータイムは施行されておらず、時差も変わりませんのでこれらが気になることはありません。
各国の時刻”ワールドタイム”を表示できる時計がありますが、この時刻情報が変わった場合、正しい時刻が表示できなくなることがあります。
しかし、カシオのスマートフォンリンク機能に対応した時計では、世界各国の時刻情報「時差」「サマータイム」を最新情報に更新することができます。よって、時計の時刻をいつでも正しく保つことができるのです。
また、時計単体ではプリセットされた20〜60都市のみですが、アプリ”CASIO WATCHES”を利用することで約300都市が簡単に選択できます。
カシオとしてのワールドタイムの管理方法
常に、世界中の最新時刻情報に対応しているCASIO WATCHESですが、そもそもカシオとしてどのように実現しているのかをご説明します。
ワールドタイムの更新方法
ワールドタイムの更新方法は以下です。
①情報調査
毎月、世界の時刻情報を調査しています。
②サーバーのデータ更新
①で変化がある場合、サーバーの時刻情報データを更新します。
③アプリのデータ更新
アプリ（CASIO WATCHESなど）は、毎月、②のサーバーにアクセスし、更新があった場合、ダウンロードし、アプリ内のデータを更新します。
④時計のデータ更新
③でアプリの更新があった場合、時計がアプリに接続した際に最新データが時計にダウンロードされ、時計のデータを更新します。
これにより、定期的に時計の時刻情報が最新データに更新され、お客様の時計は常に最新の時刻情報に追従できるのです。
近年のワールドタイム時刻情報更新
参考までに、近年変更された時刻情報を以下に記載します。実は、意外と変更している国や頻度が多いことが分かります。
・2024年
Almaty Kazakhstan 時差変更
Astana Kazakhstan 時差変更
・2023年
Nuuk Greenland 時差変更、サマータイム変更
Cairo Egypt サマータイム変更
Suva Fiji サマータイム変更
・2022年
Chihuahua Mexico 時差変更、サマータイム変更
Mazatlan Mexico サマータイム変更
Mexico City Mexico サマータイム変更
Amman Jordan サマータイム変更
Damascus Syria サマータイム変更
Tehran Iran サマータイム変更
Suva Fiji サマータイム変更
・2021年
Amman Jordan サマータイム変更
Volgograd Russia 時差変更
Suva Fiji サマータイム変更
・2020年
Suva Fiji サマータイム変更
・2019年
Norfolk Island Australia サマータイム変更
Brasilia Brazil サマータイム変更
Rio de Janeiro Brazil サマータイム変更
Sao Paulo Brazil サマータイム変更
Casablanca Morocco 時差変更、サマータイム変更
Rabat Morocco 時差変更、サマータイム変更
Suva Fiji サマータイム変更
・2018年
Volgograd Russia 時差変更
Pyongyang North Korea 時差変更
Santiago Chile サマータイム変更
Easter Island Chile サマータイム変更
Brasilia Brazil サマータイム変更
Rio de Janeiro Brazil サマータイム変更
Sao Paulo Brazil サマータイム変更
Casablanca Morocco 時差変更、サマータイム変更
Rabat Morocco 時差変更、サマータイム変更
Suva Fiji サマータイム変更
付録1:ワールドタイム機能の使い方
渡航先の現地時間に合わせたいとき
時計の時刻合わせボタンを押すだけで、時計の時刻が現在地に修正されます。
※スマートフォンのOSが判定したタイムゾーンが設定されます。
他の国の時刻を知りたいとき
例えば旅行先で日本時間を知りたい場合は、ワールドタイムを日本に設定することで、旅先でも日本の時間が確認できます。逆もまた然り、日本にいながら他都市の時間を確認することも出来ます。
付録2:時刻情報ってなに？
世界には時差という考え方があります。
地球は自転しているため、常に太陽光が当たる国と当たらない国が生まれています。もし世界中の国が同じ時刻で生活しているとすると、例えば「午前9時から仕事をするのに、ある国では太陽が昇り始め、ある国では深夜ほど真っ暗」「ある国では午前9時から仕事だが、ある国では午後12時から仕事をする」といったように、国によって生活サイクルは似ているが時刻の目安が異なってしまい、不都合が生じます。
そのため、世界では「時差」という概念が設けられ、協定世界時（UTC）※1を基準として、各国ごとに定められた時差（タイムゾーンとも呼ばれる）によって生活しています。こうすることで、上記のような不都合を解消することができます。
また、サマータイム(夏時間)※2という制度も時刻情報には必要となってきます。夏になると日照時間が増えるので、決めた期間の間は、わざと標準時間から1時間早めて生活し、太陽の出ている時間を有効利用するための制度です。
参考：https://www.timeanddate.com/time/map/
※1：協定世界時（UTC）とは？
協定世界時（UTC）は、国際的な標準時を表す時間基準です。これは、地球全体の時刻を統一するために使用されており、基準はロンドンとなっています。（例えば日本はロンドンと9時間時差があり、UTC＋9 と表されます）
※2：サマータイムとは？
サマータイム（夏時間）とは、夏季に標準時間から時計を1時間早めて、夕方～夜の明るい時間を1時間増やすことで、太陽の出ている時間を有効利用するための制度です。例えば、サマータイム中の19時は通常時の20時となるため、夏のまだ明るい夜の1時間分を活用できるというわけです。詳しくはCASIO公式HPをご覧ください。
カシオ公式HP
「サマータイムの全貌：メリット・デメリットから世界の対応まで」
【前回のテックブログはコチラ】
カシオのエンジニアが昨年6月から、C言語での組み込み開発にGithub_Copilotを利用しはじめました。C言語の開発も十分に有用！だと思い、組み込み開発での、Github_Copilotの便利Point & 残念Pointをまとめています。
【カシオのソフトウェア採用についてはこちら】