カシオの「オモシロ時計」物語 Vol.6:一見、アナログなのに実はハイテク! ガラス面に数字を書けば計算ができる 「ジェナス リードセンサー」
カシオの時計事業50周年を記念して、特にエポックメイキングだった腕時計を振り返る本連載。
過去記事でご紹介した液晶タッチパネル操作が登場したのと同じ1983年、”手書き文字認識機能”が新たに加わりました!
アナログウオッチの多機能化の壁を破る快挙でした。
数式をガラスに書くだけで計算できる!
G-SHOCKと同じ1983年に誕生した「ジェナス リードセンサー」。
一見するとただのアナログ+デジタルのコンビネーションウオッチなのですが、驚くことなかれ!
実はこの腕時計、カシオらしい電卓機能をプラスした製品ですが、なんと”手書き文字認識機能”を搭載していたのです!!
この機能のお陰で電卓機能の使い方はとてもシンプル。
数字や”+” “×” ”=” といった加減乗除などの記号を指先で文字板上のフロントガラス面に書くだけ。すると、文字板上部にある小窓に計算結果が表示されるのです。
このモデルが発表された1980年代は、アナログとデジタルの持つメリットを生かしたコンビネーションウオッチが大人気でした。
しかし、アナログの針表示を生かしたままでは入・出力の面で制約があり、電卓機能を搭載するなどの多機能化は困難。そこでカシオは、ガラス面に操作の可能性を見出したというわけです。
現代でも色褪せることのない”パーソナル情報機器”
カシオでは、すでにこの連載のVol.2でご紹介した物理ボタンを使用する電卓機能付きのデジタルウオッチ「C-80」を1980年に。
1983年には液晶タッチパネルを使用する電卓機能付きモデル「TC-500」を発表していました。
電卓を小さな腕時計に融合させ、さらに視認性の向上とそれに伴う操作性を高めるべく液晶タッチパネルを開発。その直後にさらなる進化である「ジェナスリードセンサー」の”手書き文字認識機能”。
次々と登場する時代を先取りする画期的な技術は、腕時計を身につける”パーソナル情報機器”として新たな方向へ前進させていきました。
携帯電話もない時代、外出先でガラスをなぞりながら“近未来"気分を実感された人も多かったでしょう。そして、スマートウオッチが登場する30年以上も前に、今の時代でも通用する時計に手書き入力を取り入れた先見性にも驚かされますね。